スツールの強度試験と耐久性試験
🌲アイアンスツール430と640のアイアン脚は、当社でデザインしたものをベトナムで製造したmade in Vietnam製品になります。
ベトナムの製造企業は、アメリカ企業からの依頼を受けアイアン家具等を製造し輸出している大きな企業でアメリカの厳しい品質基準をクリアできる信頼できる企業なのですが、やっぱり数値で安全性を確認したかったので、JIS S1203(家具ーいす及びスツール強度と耐久性試験)に基づく試験を奈良県産業振興総合センタ-で実施してみました。
JISマーク表示制度によるJIS製品認証を得るためには、JISに規定する特殊な形状をした「座面当て板」というものを使用する必要がありますが、センターには無く自分で調達するそうなのですが、ネットでググってもどこ購入できるのかも解からず購入を断念。
試験前に、杉板で当て板を製作し試験を実施しました。
ですので、JIS規格に基づいた製品強度試験(強度試験、耐久性試験)の社内試験というカタチになります。
まぁ、JISの証明が欲しい訳では無く、しっかりした強度があるかを確認したかったので良しとします。
🌲強度試験
〇強度試験とは・・・
いす及びスツールが通常加わり得る最大の力のもとで、いす及びスツールとしての機能を発揮できる十分な強度を備えていることを確認するために、重負荷を数回加える試験。
〇試験方法
試験方法は、二とおりあります。
①破損が生じるまで試験値を順に変化させて行う試験方法。
②一定の要求性能に適合することを確認するために、要求性能に応じた試験値で行う試験方法。
今回、②の試験方法で実施しました。
スツールなので下記荷重で実施しました。
付加荷重 1300Nで10秒保持 試験回数 10回
試験速度 5mm/min
ちなみに、JISに規定された規定された垂直荷重は、4区分(1,100N、1,300N、1,600N、2,000N)ありいずれも回数は10回です。
奈良県産業振興総合センタ-の場合、強度試験は依頼試験か設備利用を選べるそうです。
・依頼試験は、センターが実施してくれます。
・設備利用は、機械を借りて自ら実施するそうです。
今回は、初めての経験で何もわからないので依頼試験でお願いしました。
万能試験機という機械で実施して頂きました。
機械の所定位置にスツールにセットし、座面当て板を乗せて1,300ニュートンの負荷を10秒間保持。これを10回繰り返し、破損、ゆがみ、機能に影響する変形等使用上支障のある異常がないかを確認します。
今回は、座面の高さの変化確認もお願いしましたので試験前後で高さ確認も行いました。
〇試験結果(JIS規格)
・各部に破損、ゆがみ、機能に影響する変形等使用上支障のある異常がないか確認
・座面の高さの変化
・報告書
センターからの試験結果報告書には、座面高さの変化しか記載がありません。なぜか、聞くとと主観的な評価を記載するのは難しいとの回答でした。実際に破損や歪みなどはありませんし担当者もおっしゃってましたが、正式な公文書に記載し残してしまうと万が一の自己防衛機能が働いたのでしょうね。私も行政職員を長らくやっていたのでお気持ちはよーくわかりますが・・・・・・・。
写真で確認できるように、座面やアイアン脚に破損や歪み、変形等、使用上支障のある異常はありませんでした。
1,300ニュートン(約133kg)の力を所定回数かけた際に、歪みや破損がないという結果は、製品が十分に強度を持っており、繰返し負荷にも耐えることができ、通常の使用環境下で十分に機能し長期間にわたって問題なく使用できると言えると思います。簡単に言うと、「通常の使用で130Kの人が座っても大丈夫な強度です。」と言えると思います。
あくまで、結果に基づく自社分析です。
🌲耐久性試験
〇耐久性試験とは・・・
長時間にわたる使用中に反復的に起こるすべての部位の動きを模擬的に作り、その状況のもとでいす及びスツールの強度を評価する試験。
〇試験方法
強度試験と同様に二とおりあります。
今回、②の試験方法で実施しました。
座面に加える力 950N
繰り返し回数 12,500回
ちなみに、950NはJISに規定された力で、繰返し回数は、5区分(12,500回、25,000回、50,000回、100,000回、200,000回)あります。
本当は、50,000回したかったのですが、費用と時間の関係で断念しました。
12,500回で約7時間(約25,000円)かかりました。50,000回なら2日半ほどかかるそうです。
こちらの試験は、設備利用というカタチでしか試験していないそうです。なぜかはよくわかりません。
ですので、報告書もありません。
やり方を教えてもらい、7時間見守りました。
やり方は簡単です。細かな設定などは職員の方がやってくれますので見守るだけです。たまに、スツールがズレてくるので基に戻す程度です。
〇試験結果(JIS規格)
・試験前後の座面高さ比較
・試験回数の記録
センターからの試験結果報告書はありませんが、座面高さの変化は強度試験同様にありません。座面やアイアン脚に破損や歪み、変形等、使用上支障のある異常はありませんでした。
950ニュートン(約97kg)の荷重を12,500回加えても、歪みや破損がないという結果は、標準的な使用に適した耐久性あり、安心して使用できる商品であると言えると思います。
上記の回答は、行政的な言い回しで良く分かりませんね。
【仮説1】
1日20回の着座で250日/年使用する
20回×250日=5,000回
12,500回の試験÷5,000回=、2.5年
2年半使っても壊れない
【仮説1】
1日10回の着座で250日/年使用する
10回×250日=2,500回
12,500回の試験÷2,500回=、5年
5年使っても壊れない
何とも言えない結果ですねぇ~
この仮説で、50,000回の試験に耐えることができると、10年、20年使っても壊れない言えるのですが・・・・。
費用と時間に余裕があれば50,000回の試験や破損するまで数値を変えてやってみたいです。
あくまで、結果に基づく自社分析です。
これで、少し自信を持ってお客様にも説明できますし、安心して頂けます。
椅子は、人が力を抜いた状態で信頼して腰を掛けるツールです。破損があり転倒すると大ケガにつながります。そのことを肝に命じ、安全性を重視した商品開発に取り組みたいと思います。
皆さんの椅子は大丈夫でしょうか。
最後まで、お読み頂きありがといございます。
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